This is a Japanese translation of “Effective altruism as the most exciting cause in the world”
by Kaj_Sotala 2014年 9月26日
効果的利他主義がそのマーケティング戦略上、十分に強調してこなかったことのひとつは〈効果的利他主義そのものがどれほど素晴らしく心躍らせる(exciting)ものか〉という点ではないかと私は感じています。心躍る利他主義(excited altruism)というホールデン・カルノフスキーの投稿はありますが、効果的利他主義が心躍るものである理由については、それほど詳しくは論じられていません。そこで私に、その穴を埋めさせてください。
「ひとりでは多くを成し遂げられない」 ── 大人になるにつれ、私が社会から受け取ったメッセージはこのようなものだと感じます。この世界の問題は巨大で、構造的で、素朴な改革者は遂には幻滅するか、燃え尽きるかしてしまうでしょう。個々人の生活のなかで小さい努力を積もうとすることはできますが、それでできることといえばほんのわずかで、影響の範囲が拡大するということもありません。
効果的利他主義が言っているのは、今述べたことが必ずしも正しくないということです!なるほど、一部の問題は巨大で構造的なものはあるでしょうが、そのことは、個々人が大きなインパクトをもてないことを意味するわけではありません。〔例えば〕ありきたりの仕事につく平均的な人物は、自分の収入の10%というはした金を寄付するだけで、その他に利他的なことを何一つしなかったとしても、一年間のうちに何名もの命を救うことができる可能性を秘めています!これだけでもすでに驚くべきことでしょう。
しかしこれで話が終わるわけでもありません。効果的利他主義によれば、もしあなたがしかるべきキャリアを選ぶなら、それ以上に大きなインパクトを持てるのです!しかもそのキャリアは何も、選ばれし少数にしかできないようなことを要求する、奇天烈なキャリアである必要もありません(たとえ一部はそんなキャリアであるとしても)。80,000 Hours はこれまで大きなインパクトを与えられる可能性の高いキャリアを特定してきましたが、その一部だけを見てみても学者や公務員、ジャーナリストからマーケティング担当、政治家、あるいはソフトウェア・エンジニアなど、大変多様なキャリアがあります。それに留まらず、80,000 Hoursはあなたの適性を見つけることを強調します。世界に大きなインパクトを与えるために、あなたに合わない役職やあなたが大嫌いな役職に無理につく必要はありません ── それどころか、あなたの個人的な適性に合ったインパクトの高いキャリアを見つけることが奨励されています。
あなたは分析家ですか?それなら何かしらの形で研究することを考えてみてもいいかもしれません。あまり物事を深く考えすぎず、重要な課題への取り組みを傍らから支援したいのでしょうか?それなら、既存の慈善活動評価団体に寄付先を手引きしてもらい、その他のことに気を煩わせないようにしましょう。あるいは、他の効果的利他主義者を支援しましょう。社交的な性格ですか?それならインパクトを与えられる方法がたっぷりあります。あなたにできること ── しかもそれでいて効果的なこと ──- がいつでもあります。なにも超人である必要はなく、あなたのパーソナリティや才能、関心を踏まえて、あなたにできる最善を尽くすことが問題となっているのです。
〔効果的利他主義について〕何よりも心躍ることは何でしょうか?ここで問題となるのは単に何かを妄信して、ぼんやりと「気分がいい」ということではありません。コミュニティ内の人びとは、最も善いことは何かを日々議論し、善いことをするその仕方を改善し、よりうまくやるための方法を探しています。もしほんの少しでもその気があるなら、ぜひ議論に参加して、アイディアに磨きをかけてください。誰か他の人の議論に致命的な欠陥を発見したり、重要な改善点を提案するなら、それも、その議論に関係する何事かに取り組んだり、考えたりしている他の効果的利他主義者全員の効果にインパクトを与えられるかもしれません。
おまけもついてきます。現在、効果的利他主義の中核にいるのは、世界各国の、賢く、勤勉で、他者への気遣いに溢れた人びとです。あなたが効果的利他主義者となって仲間に加わるなら、地球上で最も心惹かれる人びとのコミュニティのひとつに参加することになるのです。
多くの人が人生は無意味だと感じ、人生には、追求する価値を感じさせる目標がないと思っています。私も折に触れて、そんな風に感じてきました。しかし効果的利他主義以上に説得力があり、心躍らせ、見返りの多い目標を見つけるのは容易ではありません。